【穂高】「よぉ、お疲れ。昨日はありがとな。わざわざ俺の誕生日を祝ってくれて。さすがにいきなり全部屋の灯りを消されて『目を閉じてください』とか言われた時はビックリしたけどさ。アンタにもらったマグカップ、ありがたく使わせてもらうぜ」
片羽[8件]
【凛音】「前髪が大分伸びて来たなー。親には目が悪くなるから切るなり留めるなりしなさいっていつも言われるんだけど、なんかつい面倒で美容院とか行かずにそのままにしちゃうんだよねー。今日の学校帰りに100均でヘアピンでも買って行こうかな」
【蓮蒔】「……オイ。起きろ。そろそろ出掛けるぞ。今回のターゲットは一ノ瀬財閥の次期総帥、一ノ瀬氷景。成功報酬は700万だ。穂澄の野郎にも念を押されたが、あの男はかなりの曲者だからな。俺たちの素性がバレたら厄介なことになる。くれぐれも油断すんなよ」
【氷景】「おや、これは以前、千歳が気になると言っていた婦人服ですね。モノクロのチェック柄が何とも僕好みで可愛らしい。なるほど、今だけの限定セール品ですか。それはお買い得です。では、この棚から向こう側にある婦人用の衣装をすべて。プレゼント用で。支払いはカードでお願いしますよ」
【凛音】「新都心森ノ都の駅のホームで電車待ちしていたら、偶然向かい側に季節限定のイベントSLが発着したの。音も煙もとにかくものすごい迫力で超カッコよかったよー! いいなー。いつか私も乗ってみたい。せめてもう少しお金があればいいんだけどなー……」
【氷景】「千歳? どうしたのですか? 眠れないのですか?」
【千歳】「……星、見てた。今夜は、流星群が見られるって言ってたから」
【氷景】「あぁ、そういえば、今朝のニュースでそんな話をしてましたね」
【千歳】「氷景は?」
【氷景】「僕も目が覚めてしまったんですよ。今夜は特に寝苦しいですからね。まったく、異常気象ですよ」
【千歳】「……」
【氷景】「隣、いいですか?」
【千歳】「別に構わない」
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【氷景】「そういえば、初めて会った日のこと覚えてますか?」
【千歳】「え?」
【氷景】「あの時も今日のように蒸し暑い夜でした。君はちょうどこの場所に座ってて、僕が『どうしたのか』と尋ねると、今と同じく『星を見てる』と……。フフフ、歴史は繰り返すとはよく言ったものですね。先人の名言です」
【千歳】「そうだった?」
【氷景】「えぇ。覚えてませんか?」
【千歳】「昔のことは、あまり……」
【氷景】「そうですか」
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【千歳】「……氷景」
【氷景】「何ですか?」
【千歳】「私、あれから役に立ってる?」
【氷景】「さぁ。どうですかね」
【千歳】「氷景の役に立つことが、私の役目。存在意義。なのに、氷景は何も言わないから。時々不安になる。私がここにいる理由が、ちゃんと果たせてるのかって……」
【氷景】「フッ、そうですね。千歳が本気で僕の役に立ちたいと願うなら、今はそれだけで十分ですよ。結果は後から付いてくるものです」
【千歳】「……なら、いいけど」
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【千歳】「……そういえば、今朝、氷景宛てに手紙が届いてた」
【氷景】「手紙? 誰からですか?」
【千歳】「ミル・シャルルドゥフィアの探偵事務所から」
【氷景】「……あぁ、彼ですか」
【千歳】「何か、依頼?」
【氷景】「いえ。最近、ちょっと暇なので、退屈しのぎにゲームでも仕掛けてみようかと思いまして。彼はいわばプレーヤーですよ」
【千歳】「ゲーム?」
【氷景】「もちろん、千歳にも参加してもらいますよ。僕の役に立ってくれるなら、報酬も弾みますので」
【千歳】「お金は要らない。お菓子か、本がいい」
【氷景】「フッ、お金をもらって好きなものを買えばいいのでは? 欲しいものがたくさん手に入りますよ」
【千歳】「最初から欲しい物をもらった方が楽。余計な手間暇が掛からなくて済む」
【氷景】「フフフ、君は安上がりでいいですね」
【千歳】「……それ、褒めてる?」
【氷景】「当然です」
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(片羽のペテン師@一ノ瀬邸)
【千歳】「……星、見てた。今夜は、流星群が見られるって言ってたから」
【氷景】「あぁ、そういえば、今朝のニュースでそんな話をしてましたね」
【千歳】「氷景は?」
【氷景】「僕も目が覚めてしまったんですよ。今夜は特に寝苦しいですからね。まったく、異常気象ですよ」
【千歳】「……」
【氷景】「隣、いいですか?」
【千歳】「別に構わない」
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【氷景】「そういえば、初めて会った日のこと覚えてますか?」
【千歳】「え?」
【氷景】「あの時も今日のように蒸し暑い夜でした。君はちょうどこの場所に座ってて、僕が『どうしたのか』と尋ねると、今と同じく『星を見てる』と……。フフフ、歴史は繰り返すとはよく言ったものですね。先人の名言です」
【千歳】「そうだった?」
【氷景】「えぇ。覚えてませんか?」
【千歳】「昔のことは、あまり……」
【氷景】「そうですか」
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【千歳】「……氷景」
【氷景】「何ですか?」
【千歳】「私、あれから役に立ってる?」
【氷景】「さぁ。どうですかね」
【千歳】「氷景の役に立つことが、私の役目。存在意義。なのに、氷景は何も言わないから。時々不安になる。私がここにいる理由が、ちゃんと果たせてるのかって……」
【氷景】「フッ、そうですね。千歳が本気で僕の役に立ちたいと願うなら、今はそれだけで十分ですよ。結果は後から付いてくるものです」
【千歳】「……なら、いいけど」
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【千歳】「……そういえば、今朝、氷景宛てに手紙が届いてた」
【氷景】「手紙? 誰からですか?」
【千歳】「ミル・シャルルドゥフィアの探偵事務所から」
【氷景】「……あぁ、彼ですか」
【千歳】「何か、依頼?」
【氷景】「いえ。最近、ちょっと暇なので、退屈しのぎにゲームでも仕掛けてみようかと思いまして。彼はいわばプレーヤーですよ」
【千歳】「ゲーム?」
【氷景】「もちろん、千歳にも参加してもらいますよ。僕の役に立ってくれるなら、報酬も弾みますので」
【千歳】「お金は要らない。お菓子か、本がいい」
【氷景】「フッ、お金をもらって好きなものを買えばいいのでは? 欲しいものがたくさん手に入りますよ」
【千歳】「最初から欲しい物をもらった方が楽。余計な手間暇が掛からなくて済む」
【氷景】「フフフ、君は安上がりでいいですね」
【千歳】「……それ、褒めてる?」
【氷景】「当然です」
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(片羽のペテン師@一ノ瀬邸)
【蓮蒔】「入浴は午後10時までだ。それ以降は、料金が別途発生する」
【凛音】「料金!? お風呂に入るのに!?」
【蓮蒔】「ここの運営規則は、すべて穂澄が管理してる。アイツの意向に逆らう訳にはいかねぇ。俺も現在、200万くらい借金してるしな」
【凛音】「200万!?」
【蓮蒔】「穂澄の野郎には気を付けた方がいいぞ。アイツに逆らうと借金が嵩むぜ」
【凛音】「ウソ。穂澄さん、あんなに優しそうなのに……」
【蓮蒔】「200万なんて、別にそんな大した金額じゃねぇだろ。一晩の仕事で500万。簡単に返せる額だぜ」
【凛音】「し、仕事一つで、500万!? ……あり得ない。いくら何でも金銭感覚が麻痺し過ぎです!」
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(片羽のペテン師@片羽の館)
【凛音】「料金!? お風呂に入るのに!?」
【蓮蒔】「ここの運営規則は、すべて穂澄が管理してる。アイツの意向に逆らう訳にはいかねぇ。俺も現在、200万くらい借金してるしな」
【凛音】「200万!?」
【蓮蒔】「穂澄の野郎には気を付けた方がいいぞ。アイツに逆らうと借金が嵩むぜ」
【凛音】「ウソ。穂澄さん、あんなに優しそうなのに……」
【蓮蒔】「200万なんて、別にそんな大した金額じゃねぇだろ。一晩の仕事で500万。簡単に返せる額だぜ」
【凛音】「し、仕事一つで、500万!? ……あり得ない。いくら何でも金銭感覚が麻痺し過ぎです!」
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(片羽のペテン師@片羽の館)