～徒然～
気が向いたら何か書く。

【風地咲】「白凰魔法騎士団長の深海様が応接室でお待ちなのですが、姫様はどちらにいらっしゃるのでしょうか。どこにもお姿が見えないようで……。もしお見かけしたら、ご連絡を頂けると助かります」

【深海】「久しぶりに真珠や珊瑚と共に故郷の蒼海に帰省しているんだが、こちらは朱里の王都と比べると大分低温だな。雨も多くて湿度も高い。彼岸中はしばらくこちらに滞在する予定だ。雨が上がったら、父母の墓参りにでも出掛けようか」

【星来】「今日は朱里王都の近郊にある掛かり付けの診療所に定期健診に行って来たんだけど、ものすごく混んでいて驚いたわ。受付してから2時間待ちよ。さすがにおなかがすいて眩暈がしそうだわ。どうせなら、お昼ご飯を済ませてから出掛ければよかったかもね」

【紅蓮】「今日は妹の紅葉の誕生日なんだ。アイツにはもう随分と長いこと花恋を任せっきりにしちゃってたから、たまには俺も店を手伝いに行ってやりたいなーと思ったんだけど、あいにくの悪天候でしばらくの間は船が出航しないらしい。とりあえず、お祝いのプレゼントでも贈ってあげようかな。何がいいだろうか」

【虹河】「む……目薬が残り僅かか。そろそろ買い置きも切れる頃合いだな。仕事帰りに蒼海薬房に寄って行かなければ……」

【莱樹】「今日は姫の誕生日だよな。今夜は王都で盛大なパーティーが行われる予定だって、さっき風地咲が言ってたぜ。美味いごちそうがたくさん食えそうだよな。そういやぁ、プレゼントとかどうすりゃいいんだ？　アイツの好みなんてよく分かんねぇよ」

【雨春】「おーい、起きてるか？　今日は一日俺に付き合ってくれる約束だよな。朝飯食ったら出掛けるから、支度しろよー。……あ、荷物は全部グリモアに運ばせるから、手ぶらで平気だぜ」

【珊瑚】「蒼海の浜辺を散策していたら、とっても綺麗な貝殻をたくさん見つけたの。虹色とかすごく可愛いよねー。これを使って、新しい髪飾りを作ってみようかなー」

【深海】「今なら真珠が仮眠室で転寝してる様子が見られるぞ。アイツは普段、ほとんどと言っていいくらい隙がないからな。たまにはゆっくり寝かせておいてやるか。俺も眠くなってきた」

【未凪】「風が何だか生暖かいわね。遠くの方で雷の音が聞こえるから、どこかで降っているのかしら。王都の上空にも黒雲が広がってきたみたいだし、空気がすごく蒸し暑いわよね。今夜の見回りは早めに切り上げた方がよさそうだわ」

【黒衣】「む、バンダナに綻びが……。昼間、鍛錬の際に解れたのだろうか。仕方がない。後で未凪に修繕を依頼するか。アイツならおそらくこういうのは得意だろうからな」

【星来】「昨日、魔導図書館で借りた本がすごく面白かったから、その続きを読みたいんだけど、風地咲ってば『そのシリーズは姫様にはまだ早すぎます』とか言って、一切貸し出してくれなかったのよね。ヒドイと思わない？　私だって、もう一人前のレディーなんだから。恋愛漫画くらい嗜むわよ。どうにかして風地咲を説得出来ないかしら。このままじゃ、続きが気になって仕方ないわ」

【真珠】「少し前に朱里の姫が深海を訪ねて来たらしいんだが、あいにく俺は今しがた任務から戻ったばかりだから詳しいことが何も分からねぇんだよな。とりあえず、珊瑚が実体化していられるうちに王都の近くでも探しに出掛けるか。まったくアイツは一体どこで油売ってやがる」

【風地咲】「今日も暑いですね。もし体調が優れないようでしたら、あまり無理をせずに、涼しい木陰で適度に休憩なさってくださいませ。水分をこまめに取ることもお忘れなく。今、冷たいタオルとアイスティーをお持ち致しますね」

【雨春】「今日は杏の誕生日だから、俺が選んだスペシャルコーデで一緒に朱里の王都を観光しないかって誘ったのに、アイツ『絶対イヤだ』とか言うんだぜ。酷くね？　おまけにグリモワまで失笑してるしさ。一体、この服のどこに問題があるってんだ？　別に普通のペアルックだろ。深紅のTシャツに紫のチュニック、ブルーのパーカーだぜ。すげーイケてると思わねぇ？　まったく、何が気に入らないんだか、俺にはサッパリだわ」

【未凪】「今夜は風が爽やかで心地いいわね。空気がとても澄んでいるわ。王都の見回りも兼ねて、これからミンキーと一緒にお散歩にでも行ってみようかしら。星空がすごく綺麗に見える丘があるのよ」

【虹河】「オイ、そこで何をしている？」

【紅蓮】「アハハ、さすがは虹河ちゃん。気付かれてたか」

【虹河】「紅蓮……。何の用だ？　私は今、忙しいんだ。要件があるなら、手短に言え」

【紅蓮】「紅茶、飲まない？　それからアップルパイも……。作り過ぎちゃってさ」

【虹河】「人の話を聞け。言っただろう。私は今、忙しいと……。お前に構っている暇などない。分かったら、早々に立ち去れ」

【紅蓮】「ハイ、ストレートティー。それから、虹河ちゃん。アップルパイ、好きだろ？」

【虹河】「む……」

【紅蓮】「あんまり根を詰めると、身体に悪いよ。少しは休憩しなきゃ」

【虹河】「誰のせいでこうなったと思ってるんだ！？　大体、お前がナンパばかりして仕事を溜め込むから、私が苦労しているんじゃないか！　それなのに……！」

【紅蓮】「ハイ、虹河ちゃん」

【虹河】「むぐ……。もぐもぐ……。これ、お前が作ったのか？」

【紅蓮】「まぁね。最初は火南と火粉のおやつにするつもりだったんだけど……」

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【火南】「……ったく、もう。何だよ、こんなクソ暑い日のおやつがそれかよ。もうちょい気の利いたもん食わせろよな！」

【火粉】「もう、ワガママ言わないの。せっかく紅蓮ちゃんが作ってくれたんだから。嫌なら火南は今日のおやつ抜きね」

【火南】「はぁ！？　ふざけんなよ、火粉！　俺は要らねぇとは言ってねぇ！」

【紅蓮】「まぁまぁ、二人とも喧嘩しないで。じゃ、火南には俺が代わりにアイス買って来てあげるから」

【火南】「やりぃ！」

【火粉】「えー、火南ばっかりズルーイ！　私もアイス食べたーい！」

【紅蓮】「分かった、分かった。じゃ、せっかく作ったこれは、どうしようかな？」

【火南】「虹河にでもあげればいいじゃねーか。大好物なんだろ？」

【紅蓮】「そうだね」

【火粉】「ゴメンねー。紅蓮ちゃん。せっかく作ってくれたのにー」

【紅蓮】「ハハハ、いいよ。別に……。うん、そうだね。そうするか」

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【紅蓮】「……ってな感じのやり取りがあったことは、内緒にしておいた方がいいかな。なんかこっちがついでみたいな感じになっちゃうしね」

【虹河】「？」

【紅蓮】「まぁ、いろいろあってさ。今日は暑いから冷たいアイスの方がいいって、二人に返されちゃったんだよね。アハハ。まったく困ったもんだよ」

【虹河】「そうか。……しかし、火炎の朱雀の精霊がアイスって、溶けないのか？」

【紅蓮】「さぁね。……ま、お陰で俺はこうして虹河ちゃんと二人きりの時間を過ごせるわけだし」

【虹河】「！」

【紅蓮】「こうでもしなきゃ、虹河ちゃん、俺の言うことなんて聞いてくれそうにないからさ」

【虹河】「分かっているなら、むやみやたらに絡むのは止めてもらいたいものだな。桐流兄さんにも釘を刺されているはずだ。私にちょっかいを出してばかりでは、いつかお前、恐ろしい制裁を受ける羽目になるぞ」

【紅蓮】「アハハ！　そいつは楽しみだ」

【虹河】「笑い事じゃないだろう！？　まったく、もう……。何なんだ。この男は……。調子、狂う」

【紅蓮】「よかった。いつもの虹河ちゃんだ」

【虹河】「はぁ？」

【紅蓮】「心配してたんだ。最近、元気がないから」

【虹河】「べ、別にそんなことは……。ただ、ちょっと疲れがたまっていただけだ」

【紅蓮】「フフ。そっか。……じゃ、そろそろ俺は行くよ。仕事の邪魔して悪かったね。また来るよ」

【虹河】「もう来なくていい。お前も仕事しろ」

【紅蓮】「フフ。虹河ちゃんのそういう所、俺は結構好きだよ」

【虹河】「……っ！　調子に乗るな！」

【紅蓮】「痛っ……！」

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（我ら、白凰魔法騎士団！＠虹河の研究室）

【黒衣】「誕生日……か。俺にとっては、特に何も実感がない。自分がこの世に生を受けた日。ただそれだけだ。それなのに、なぜ皆その日を特別視する？　団長も、未凪も……俺に気遣いは無用だ」

【珊瑚】「暑いー！　こういう日は、甘味処で冷たいかき氷が食べたいよねー。ふわふわの氷に甘いシロップをたっぷりかけて……。シロップは何味が好き？　私はブルーハワイかな」

【虹河】「紅蓮に『仕事が終わったら大事な話があるから帰宅せずに待っていて欲しい』と言われたのだが、当の本人がまだ来ていないとは一体どういうことだ。私はこれから玉珠鎖本部の桐流兄さんに届け物があるから、暇ではないんだが……。何だ、話って……。もう後10分待っても来なかったら、悪いが先に帰らせてもらうことにしよう。メモを残しておけば大丈夫だろうか」

【真珠】「オイ、遅刻するぞ。早く支度しろ！　遊んでんじゃねぇ！」

【深海】「今日は雨だな。俺の故郷でも結構雨が多かったが、この辺りもわりと多湿らしい。こういう日は朱里の王都でのんびりと昼寝でもするか……って、くれぐれも真珠には内緒な」